「有能」の核

「信長の草履」の話し。
と聞いて、すぐに誰のことかわかりますか。
信長の草履取りになった秀吉は、寒い季節、信長が草履を履いても足が冷えないように
草履を懐に入れ暖めてから信長に差し出すという実に細やかな心遣いで信長に気に入られます。
その秀吉には、石田三成とのこんなエピソードがあります。
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子供の頃、寺で勉学に励んでいた三成のもとへ、たまたま秀吉が休息に訪れた。
喉の渇いた秀吉が茶を所望すると、三成は大きな茶碗にぬるいお茶を 七、八分入れてもってきた。
一気に飲みほした秀吉がもういっぱい所望すると、次は少し熱いお茶を半分くらい入れてもってきた。
試しにもう一杯と頼んでみると、今度は小さな茶碗に熱~いお茶を少しだけ入れてもってきた。
その気配りに感激した秀吉が、彼を家来として連れて帰った。
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まず、これはゴマすりでもご機嫌取りでもなんでもなく、素晴らしいEQを示すエピソードです。
この2つのエピソード、昔から折にふれて目にするわけですが、改めて取り立てられた彼らが歴史に名を残したことを考えると、
スキルが多様化・複雑化している現代社会の中でも、今も昔も変わらぬ「能力値のグラウンド・ゼロ」がなんたるかを再確認させてくれます。
EQだけでは陰でバカにされてしまい、IQだけでは人はついてこない。
両立は必須とはいえ、ここは間違いなく「有能」の核。
例えば、WEBの話に置き換えても、コンテンツの重要性の高まりに業界全体でライティングスキルが追いついていない印象がありますが、
ここも、書き方やテクニックを小手先でインストールしてその枠内で書くよりも、読み手のリアクションや心情をイメージできる、というただ1点のスキルをベースに自由に書いた方が、ライティングの際、文字に覇気が宿るのを感じます。
その他、EQを鍛えると様々なメリットがあります。
・遠隔地の人間のパフォーマンスが読める
・顧客満足分岐点を把握できる
・マーケティングができる
・営業ができる
【因果律をコントロールできる。】
技術のベースは筋力。
ソフトのベースはハード。
だいぶ昔の話になりますが、ハンマー投げの室伏選手がスポーツマンのナンバーワンを決める、というような番組に出ていて、
様々な能力・テクニックが求められるはずの各種目全てで圧倒的にトップになってしまい、番組が成立しなくなってしまっているのを見て衝撃を受けたことがあります。
少し共通するものがあると感じています。
ビジネスにおいてもベースとなる筋力を身につける必要があると。
現代の啓発本などと比較しても、例えば論語や歴史上の偉人のサクセスストーリーやエピソードは、
フィールドが違えど、よりむきだしでダイレクトなカタチで本当にビジネスに必要な素養を提示してくれている、と感じるのです。