剣を極めるために絵を描く

現在、WEBやアプリ事業は仲間に任せ、僕自身は
企業さまに、営業などで使う必殺トーク(営業マニュアル)を開発する、ということをしています。
大企業さまなどですと、会社理念や既存の教育コンテンツとの兼ね合いもあり、共存には調整を要しますが、
トーク自体はほとんどそのまま採用頂いており、とても有り難い限りです。
様々な企業さまの状況に併せて、トーク開発を行う際に必要なことが、そのトークの源泉となるマインドセットです。
トークそのものはもちろんですが、この「WHY」がなければ、変質・応用不可などのリスクがあるため、ここを理解して頂くことに最大の注意を払います。
個人的に参考にしているのが、宮本武蔵の「五輪書」です。
五輪書には、目次を企業教育にそのまま使えるくらい、項目が整理されています。
一例を見てみましょう。
「地之巻 後書」にて、兵法を学ぶ前提としての原則を述べています。
第一に、よこしまになき事をおもふ所。
第二に、道の鍛錬する所。
第三に、諸藝にさハる所。
第四に、諸職の道を知事。
第五に、物毎の損徳をわきまゆる事。
第六に、諸事目利をしおぼゆる事。
第七に、目にみヘぬ所をさとつて知事。
第八に、わずかなる事にも気を付る事。
第九に、役に立ぬ事をせざる事。
1→倫理的たれ
2→知行合一たれ
3→リベラルアーツを身につけよ
4→ジェネラリストたれ
5→ロジカルシンキング
6→直観を養え
7→多面的に物事を見よ
8→洞察力・分析力
9→本質思考・主義たれ
と勝手な解釈ではありますが、キレイにビジネスに置き換えることができます。
現在、歴史や宗教の本を読み漁っている僕は、宮本武蔵の多芸さ、
つまり3の項目が気になります。
宮本武蔵は、剣豪として有名ですが、
絵画・書道・作庭・茶道・彫刻・碁・将棋・詩歌など、
実に多芸で芸術家としての顔を併せ持っていたようです。
なぜなぜと考えてみると、
ビジネスパーソンに歴史・宗教・哲学・芸術・科学などのリベラルアーツが必要なのと同じく、
宮本武蔵も剣の道(兵法)を極めるために必要な教養として、これらに取り組んだのではないかと思います。
彼(兵法者)にとってのリベラルアーツだった、というわけです。
商売で考えると、「心を解き放つ」ために世界の有り様を学ぶ、ということの大事さを感じています。
宮本武蔵に限らず、松下幸之助さんの本などには、明鏡止水のメンタルがあります。
「いかに彼らといえども、激動の末の境地である」
ため、僕のような者がそのままインストールすることにはいささか恐れ多い部分があります。
むしろ、宮本武蔵が吉岡一門を斬った時のような(史実の真贋はともかく)
「そこまでの明鏡止水に至った、烈火のごときプロセス」
をイメージすることが大切と感じます。
知行合一。
「知」と「行」のバランスが崩れそうな時こそ、この言葉を反芻したいと思うのです。