画像生成AIは、イラストや広告素材の作成などに幅広く活用されています。
一方で、AIで作った画像に著作権が認められるのか、商用利用してよいのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AI生成画像の著作物性、著作権侵害が問題になるケース、商用利用時に確認したいポイントを整理して解説します。

目次
画像生成AIで作った画像の権利の考え方
まずは、AI画像の著作権を考える際に押さえておきたい二つのポイントを見ていきましょう。
- 著作権法で保護される「著作物」とは
- 人間による創作的な関与が判断材料になる
著作権法で保護される「著作物」とは
著作権法では、著作物を「思想または感情を創作的に表現したもの」と定めています(※)。
つまり、対象には文章で表現される文芸のほか、学術、美術、音楽などが当てはまります。
一方で、単なるデータや事実、ありふれた表現などは、著作権法の対象ではありません。
著作物として保護されるには、次の三つの条件を満たすことが求められます。
- 思想または感情が表現されていること
- 創作性があること
- 文芸・学術・美術・音楽の範囲に属していること
こうした作品は、特別な手続きをしなくても創作した時点で著作権が発生し、創作者は著作権を持つ人として扱われます。
そして、第三者が作品を利用する場合は、原則として権利を持つ人から許諾を得る必要があります。
人間による創作的な関与が判断材料になる
AI生成画像の著作物性を考えるときは、次のような点が判断材料になります。
- AIへの指示やプロンプトがどれだけ具体的か
- 生成された画像をどの程度選択・修正・編集したか
- AIがどの程度自律的に生成したか
例えば、「夕暮れの海辺を描く」など簡単な指示だけで画像を作成した場合は、人の創作的な関与が強いとはいえません。
一方で、人物の特徴や構図、色彩などを具体的に指定し、出力結果を確認しながら調整や修正を重ねた場合は、人の関与が大きいと評価され、著作物として認められる可能性が高まります。
AIの学習と画像生成では著作権の考え方が異なる
AIと著作権の問題は、「AIに画像を学習させる段階」と「生成した画像を利用する段階」に分けて考える必要があります。
まずAIの学習では、原則として著作権者の許諾を得ることなく、AIにデータを読み込ませることができます。
しかし、いかなる学習でも無条件に許されるわけではありません。
例えば、以下のような場合は、「著作権者の利益を不当に害する」として著作権侵害に問われる恐れがあります。
- 特定の作家の画風をそっくり再現する目的で偏った学習をさせる
- 有償の画像データベースを無断で取得してRAG(検索拡張生成)用のデータに組み込む
しかし生成・利用する際は、通常のイラストや写真と同じ基準で判断されます。
AIが学習ルールを守って作られたものであっても、出力された画像が他人の作品に似ていればアウトになるため、次の章で解説する「類似性」と「依拠性」の確認が重要になります。
AI生成画像が他人の作品に似ている場合の著作権侵害リスク

ここからは、画像を生成する場合に注意すべき点として、以下の二つを解説します。
- 著作権侵害を考えるうえで重要な「類似性」と「依拠性」
- 著作権侵害に当たらないと考えられるケース
著作権侵害を判断する重要な基準「類似性」と「依拠性」
AI画像の著作権では、生成した画像が既存の著作物と類似しているかどうかに注意しましょう。
著作権侵害は、主に「類似性」と「依拠性」の2点から判断されるためです。
「類似性」とは、元の作品が持つ特徴的な表現が生成画像にもみられることです。
「依拠性」は、既存の作品をもとにして作ったことを指し、偶然似ているだけであれば依拠性は認められません。
次のようなケースでは特に注意が必要です(※)。
- 既存のキャラクター名や作品名を指定して生成する
意図的な模倣と判断され、依拠性が認められるため、権利侵害のリスクが高まります。
- 実在するクリエイターの名前を指定して生成する
作家やイラストレーターなどの既存作品と似ている場合は、意図的な模倣(依拠性)とみなされ、侵害に当たる可能性があります。
- 他人の著作物を読み込ませて生成・改変する
Image to Imageなどで元の作品を利用し、特徴的な表現が生成画像に残っている場合は、複製権や翻案権の侵害に該当する恐れがあります。
※参考:文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」
著作権侵害に当たらないと考えられるケース
著作権法が保護するのは表現であり、アイデアや一般的な作風・画風そのものは原則として対象ではありません。
そのため、「水彩画風」「アニメ風」などの一般的な作風や画風、ありふれた題材の利用は、原則として侵害に当たる可能性は低くなります。
また、保護期間が終了したパブリックドメインの作品も、著作権侵害にはあたりません。

画像生成AIを仕事で利用する際の5つの注意点

AI画像をビジネスやイベントのプロモーションなどで使う場合、著作権侵害に当たらないように気をつける必要があります。
ここでは、押さえておきたいこととして以下の5つを紹介します。
- AIツールの「商用利用可能」と著作権は別に考える
- 利用するサービスの規約を確認する
- 生成した画像を利用する前にチェックする
- 生成・編集の過程を記録しておく
- 著作権と併せて情報漏洩対策や社内ルールの整備も行う
AIツールの「商用利用可能」と「著作権」は別に考える
AIツールに「商用利用可能」と書かれていても、第三者の権利侵害に関する責任まで免除されるわけではありません。
そのため、「商用利用できる=著作権を気にしなくてよい」と解釈するのは危険です。
万が一著作権を侵害してしまった場合、民事・刑事の両面で法的責任を問われる恐れがあります。
具体的には、著作権者からの差止請求や損害賠償請求、名誉回復措置などを求められるケースがあるほか、故意の侵害とみなされれば刑事罰の対象にもなります。
利用するサービスの規約を確認する
画像生成AIを商用利用する場合は、サービスごとの利用規約を確認してください。
ツールや有償・無償のプランによって、商用利用の許可範囲や生成物の権利、再配布の条件などは異なります。
例えば、「自社広告への使用は認められていても、画像自体を素材として販売することは禁止されている」などのケースもあるため注意が必要です。
また、AIに関する法律の解釈や各ツールのポリシーは随時更新されます。
生成AIと著作権の関係は個別判断となるケースが多いため、利用時にはツールの最新規約とあわせて、文化庁が公表しているガイドライン(※)などの公的資料もチェックしておきましょう。
※参考:文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」
※参考:文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」
生成した画像を利用する前にチェックする
AI画像著作権のリスクを抑えるため、生成した画像を商用利用する前に、画像検索を活用しながら、既存作品と酷似していないか確認しましょう。
特に、キャラクター名や作家名などの固有名詞を指定して生成した場合は、通常よりも慎重な確認が必要です。
また、公開後に問題が見つかった場合に備えて、配信や公開の停止判断ができる体制も整えておきましょう。
生成・編集の過程を記録しておく
AIで作った画像に著作物性や権利関係を説明する必要が生じた場合に備えて、人がどのように制作へ関わったかを記録しておくことが重要です。
使用したプロンプトや試行錯誤の過程、生成画像を選んだ理由、生成後に加えた修正などを記録しておきましょう。
著作権侵害のトラブルが発生した際、関係機関や権利者への各種申請・届け出、社内報告の場面で、こうした記録が証拠として役立ちます。
著作権と併せて情報漏洩対策や社内ルールの整備も行う
生成AIを業務で利用する際は、著作権だけでなく情報漏洩やセキュリティ上のリスクにも注意しましょう。
未公開の製品情報や顧客データなどを入力すると、サービスの設定によってはAIの学習に利用され、第三者への回答に反映される恐れがあります。
企業で活用する場合は、こうした法的な問題や情報漏洩を防ぐために、AIガバナンスの整備を行い、組織として適切に対応できる体制を整えることが必要です。
機密情報を入力しない設定にするなど、適切な対策を講じるためのルールや体制、責任の範囲を定めておきましょう。
業務で画像生成AIを利用するには、著作権侵害や情報漏洩のリスクを管理するための厳格なチェック体制が必要です。
安全性を担保するための確認作業や社内ルールの整備には多くの時間と専門知識を要します。
そのため、商用利用する重要なコンテンツでは無理に自社でAIを活用せず、専門の制作会社やプロのクリエイターに依頼するのもリスクを抑える有効な選択肢です。
AI画像の著作権とともに確認したい権利

次に、著作権以外にも確認したい権利とリスクとして以下の二つを解説します。
- 人物を扱う場合に関係する「肖像権・パブリシティ権」
- ロゴやブランドなどに関係する「商標権・意匠権」
人物を扱う場合に関係する「肖像権・パブリシティ権」
生成AIでは、実在の人物を想起させる顔や声に近い表現が出力されることがあります。
そのため、企業が画像や音声を利用するときは、肖像権やパブリシティ権を侵害していないか確認しましょう。
具体的な個人名をプロンプトに入力しないことや、生成した画像から誰であるか判別できないよう公開前にチェックが必要です。
また、著作権だけでなく不正競争防止法が関連する場合もあるため、企業では社内でリスク管理のルールを決めておきましょう。
ロゴやブランドなどに関係する「商標権・意匠権」
商標権とは、商品やサービスを区別するために使われるロゴや名称などを保護する権利です。
AIで画像を生成すると、意図せず他社の登録商標やブランドを想起させる表示、既存商品のデザインに似た要素が含まれる場合があります。
商用利用する前には、ロゴや透かし、特定のブランドを連想させる要素が含まれていないか注意しましょう(※1)。
また、商品の形状や模様、色彩などのデザインを保護する意匠権にも配慮が必要です。
他社の登録意匠と似た特徴が生成画像に含まれていないか確認し、必要に応じて利用を控えたり、プロンプトを変更して再生成したりしましょう(※2)。
※参考1:特許庁「商標制度の概要」
※参考2:特許庁「意匠制度の概要」

AI画像は著作権のポイントを押さえて適切に利用しよう
AI生成画像をビジネスで安全に活用するには、ツールが出力したものをそのまま使うのではなく、プロンプトの工夫や加筆修正など「人の手による工夫」がどこまで入っているかを見直すことが重要です。
あわせて、意図せず既存の作品を模倣していないか、公開前にしっかりチェックを挟むことで予期せぬトラブルを回避できます。
また、著作物の権利にとどまらず、実在する人物やブランドへの配慮や、利用ツールの規約違反がないかなどの多角的な確認も欠かせません。
AIに関する法律やルールは日々変化しているため、常に最新情報をキャッチアップし、適切なチェック体制を維持していく必要があります。
しかし、こうした最新の動向を常に追い続け、社内で厳密なリスク管理体制を維持していくのは、企業にとって大きな負担となります。
権利面のリスクを確実に抑えつつ、検索エンジンや読者から高く評価されるオリジナルコンテンツを発信したい場合は、専門のプロに制作を任せるのも確実な選択肢です。
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よくある質問
AI画像の著作権に関するよくある質問をまとめました。
日本の著作権法上は、AIで生成した画像に対して、一律にクレジット表記が義務づけられているわけではありません。
ただし、利用するAIサービスや掲載先の規約、コンテスト・公募要項などで表示が求められる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
フリー素材と書かれていても、用途まで自由とは限りません。
利用する前に、配布ページで許可されている範囲(加工、商用利用、再配布など)を確認してから使いましょう。
AIで作成した画像をロゴや商品パッケージに使うことと、その表示が商標登録できるかどうかは別に考える必要があります。
商標登録の可否は、AIで作成したかどうかよりも、識別力があるか、他人の登録商標と紛らわしくないかなど、商標法上の要件によって判断されます。
自社で権利を持っている画像であれば、第三者の作品を無断で加工するケースとは事情が異なります。
ただし、AIサービスに画像を送信するため、入力した画像の取り扱いなど、サービスの規約を確認する必要があります。
写真に人物などが含まれている場合は、著作権以外の権利も確認しましょう。
AIによる画像の学習への対応方法は、サービスやクローラーの仕様によって異なります。
例えば、robots.txtの設定や認証制限などの技術的措置が利用されることがありますが、すべての学習利用を防げるとは限りません。
学習利用の拒否手段を案内しているサービスもあるため、利用しているサービスや公開先の最新情報を確認しましょう。
プロンプトに著作権が認められるかどうかは、書かれている内容や表現の仕方などによって異なります。
短い指示や一般的な言葉を並べただけのものであれば、著作権が発生しない可能性があります。
一方で、長文であり、表現上の工夫や創作性が認められる場合には、著作物として保護される可能性があります。
ただし、単に詳細な指示を書いたというだけでただちに著作物になるわけではなく、個別に判断されます。









